●マスコミを目指すきっかけ
僕のスタートは、他のマスコミ志望者より大分遅めでした。大学三年の秋口、「公務員になろうか」「院に行こうか」と進路に悩んでいた折に、学内で開講される「読売新聞特別講義」の存在を知りました。受講を決めたのは「面白そうだし、単位取得も楽そうだ」という軽い気持ちからでした。
講義の内容は、毎回、政治部記者、社会部記者、スポーツ部記者といった方々がかわるがわるに講演をするオムニバス形式。テレビや新聞を通してしか知らない世界に、実際に触れることのできる記者という仕事に、関心を持ち始めました。
ちょうど同じ時期、大学の掲示板のCRSマスコミ就職講座の張り紙を見かけた。「何かしなければ」と焦り始めていた頃だったので、すぐに学校に電話をし、ガイダンスに参加することになりました。このとき、初めて僕の就職活動がスタートしたのです。
正直、入校した当初の僕には、マスコミ業界に対する「憧れ」程度のものはあったものの、いまいちその夢を現実のものとしてとらえることができず、なにか雲を掴もうとする感覚で向かっていました。熱意も、他の就活仲間と比べれば欠けていたように思います。
でも、学校で出会った先生や、就活仲間と接していると、知識やらコツやらパワーやらがどんどん流れ込んできました。マスコミ就職を本気でとらえられるようになり、熱意も芽生えてきました。こうした出会いのおかげで、就活が「楽しい」ものになってきました。
●面接や筆記試験を受けて、感じたこと
とはいっても、やはり就活は「楽しい」ばかりではありませんでした。自分をめいっぱい出せなかったり、頑張っても落とされたりと、悔しい思いもたくさんしました。僕は、よく「天然だね」といわれるたちで、浅はかな失敗も結構犯しました。エントリーシートの証明写真の欄に、普通に友達と写った写真を切って貼りつけたこともあったくらいです(写真に顔のよく似た友達も入っていたため、面接では、「証明写真のどちらがあなたですか」と訊かれました)。
エントリーシートは、マスコミ講座の先生や、就活仲間のアドバイスのおかげで、かなり順調に通っていきました。
しかし、スタートの遅めだった僕には、次から次へと迫るエントリーシートを何とか仕上げるので精一杯で、面接や筆記試験対策に十分な時間を割くことが叶いませんでした。そのせいもあり、面接と筆記試験では、壁にぶち当たることもしばしばでした。
それでも、先生や仲間の助けももらいながら、少しずつですが、何をすべきかを把握し、コツをつかめるようになりました。
その中でも、僕が大事だな、と感じたことは、「世の中に対してアンテナをはりめぐらせる」ことです。つまり、情報に敏感になる、ということです。
新聞で気になった記事はスクラップする。テレビで気になった番組とその内容をメモしておく。行った美術展の気に入った展示品をメモしておく
一つ一つの情報は、就活において役に立つかもわからない、些細なものでしょう。でも、ある面接、ある筆記試験で、その情報の一つがふと役に立つときがありました。「見といてよかった!!」と心底感動したことを覚えています。
●内定をもらったとき
読売新聞社の筆記試験。時事問題・一般教養は、やはり難しく、出来は全くわかりませんでした。
しかし、もっと厄介だったのが、論文問題でした。
題「宇宙と平和」
見た瞬間、ゾッとしました。宇宙と平和!?作文ならまだしも、どうやって論を立てればいいんだ・・・・。5分くらいは、思考があきらめモードに向かいました。
でも、何もせずに終るのは悔しい。のろのろと、戦争と宇宙開発の関りの歴史について書き始めました。「でも、なんかこんなの、俺の文章じゃない」。そう思っていた開始30分頃、自分が星好きであることを思い出ました。そこからは、宇宙の持つロマンや、魅力を絡めて、とにかく筆を走らせました。正直出来は、最悪だと思いました。
しかし、後の一次面接で、「君、結構作文よかったよ」と言ってもらえたのです。本当に意外でしたが、たぶん星好きの自分にしかない感性を評価して頂けたのだろうと思います。
読売新聞社採用試験の目玉ともいえるインターンを経て、いざ最終面接の日。緊張をほぐすため、いつものように自転車で本社に向かいました。
インターンで仲良くなった最終面接参加者と再会を誓い、最終面接へ。
面接では、時事関係の話題のほかに、「どのような本を読んでいるの?」「趣味に天体観測ってあるけど、どういうこと?」といった質問をされました。そして、畳み掛けるように、何度も「体力はあるか?」と訊かれました。
面接は10分ほどで終わり、「あっさりしてたなぁ」と少し不安になりながら、再び自転車をこぎました。時間は午後3時くらいだったでしょうか。「合格者には、夕方6時くらいに連絡を差し上げます。残念ながら縁がなかった場合連絡はいたしませんので」ということでした。「電話が鳴らなかったらどうしよう・・・」 不安を紛らせるため、スーツのまま、封印していたゲーセンにしばらく入り浸りました。
連絡が入ったのは、部屋に戻った五時半頃。
「もしもし、釋迦堂くん?人事部の○○ですが」
安堵と感動のあまり、「こんにちは!」と訳のわからない返事をしてしまう僕。「ありがとうございます」と「宜しくお願いします」を繰り返し、心臓をドキドキさせたまま電話を切りました。こんな感じで、僕の就活は終わりを告げた訳であります。
後になって、読売新聞特別講義をきっかけに就活を始めたことを思い返し、なんだか縁というものの存在を感じずにいられなくなりました。
●就職活動を振り返って
「人との出会いに支えられ、出会いによって成長できた」。就職活動を振り返って、一番に感じることです。一緒に闘ってくれる先生や、仲間や、支えてくれる身近な人々がいなければ、内定という結果は絶対になかったと思っています。
しかし、その出会いを掴み取ったのは、他でもない自分自身でした。読売新聞特別講義を受講し、マスコミ講座受験を受けようという決断をしなければ、そんな素敵な出会いもなかったし、今の僕もありません。そういった意味で、就活には時に、運と出会いを引きつける決断が必要なのかもしれません。
今、もし皆さんの中に手を出そうか迷っていることがあるのなら、ぜひ前向きな方向に考えてもらいたいです。そして、自分の決断で、チャンスを掴み取ってほしいと思います。
あともう一つ、就活では企業にフラれたりして辛いことがきっとあると思います。でも、それも気の持ちようです。決してあきらめないで就活を楽しんで欲しいと思います。